【動画】過激派組織「イスラム国」が「建国」を宣言してから10年がたったイラク北部モスル=其山史晃撮影
小学校の低学年くらいの年ごろだろうか。2人の少年の一人が道路の脇にひざまずいて座り、もう一人が背後に立っていた。
次の瞬間、後ろの男の子が手にした棒きれを少年の首にあてて切るしぐさをした。
2017年6月下旬、過激派組織「イスラム国」(IS)に3年間支配されたイラク第2の都市モスルを取材で訪れていた私は、車窓越しに目撃した「斬首刑ごっこ」に衝撃を受けた。
14年6月にモスルを制圧したISは、「カリフ(預言者ムハンマドの後継)制国家」を宣言した。斬首刑は、その支配の残虐さの代名詞とも言えるものだった。
ISは子どもにどんな影響を与えたのか。現地で「ISの軍事訓練所に連れて行かれた子がいる」という証言を得た。ISはこうした子どもを「若獅子」と名付け、「エリート教育」を施したのだという。
【連載】過激思想と私 「イスラム国」は生きている
過激派組織「イスラム国」が「国家」を宣言して10年がたちました。「領土」は失われましたが、その思想は死んだのでしょうか。恐怖支配を経験した地で迫ります。
- 【そもそも解説】いま振り返るイスラム国 「建国」宣言から10年
ISが広めようとした過激思想とは何だったのか。偽りの「国家」は倒されたが、その思想は根絶されたのか。
その答えを探すため、私は「IS建国」から10年となった今年6月下旬にモスルを再訪した。
そこで関係者をたどり、2人の「若獅子」にたどり着いた。
「勇敢になるため」 子どもが見た衝撃シーン
指定された民家に現れた男性…