侵略戦争を続ける「プーチンの帝国」ロシア、植民地主義をほうふつとさせる攻撃や入植を進めるイスラエル。歴史の逆戻りを思わせる近年の事象をどう考えるか、歴史学でも議論が重ねられており、雑誌「思想」7月号では特集「帝国論再考」が組まれた。携わった中澤達哉・早稲田大教授は、「帝国」の姿を考えることは近代・西欧中心の歴史観を問い直すことにつながる、と説く。
中澤教授はスロバキア史、東欧史が専門。今回の特集では英仏のほかロシア、オスマン、清など様々な「帝国」の研究者が最新の「帝国」論を紹介している。
「西欧の近代化と国民国家の成立を前提とする歴史観が、長年の間自明のものとされてきた」と中澤教授は話す。
例えば中東欧を支配していた…