‘Shortcuts Everywhere’: How Boeing Favored Speed Over Quality
米サウスウェスト航空が運航する、就航間もないボーイング製小型旅客機「737MAX」が2023年2月、自動安定装置の誤作動が疑われたため、離陸直後に緊急着陸を余儀なくされた。
それから2カ月もたたないうちに、米アラスカ航空が運航する、総飛行時間8時間の737MAXで飛行中に火災報知機のトラブルが発生。不具合が解消されるまで、同機は一時的に運航停止になった。さらに同年11月には、納入されたばかりだった米ユナイテッド航空の同型機で、エンジン1基が飛行中に上空3万7000フィート(約1万1000メートル)で故障した。
こうしたトラブルは航空会社から米連邦航空局(FAA)に報告されたが、広く報じられることはなかった。危険にさらされた人はいなかったようだが、一連の不具合について最終的な責任の所在は明らかになっていなかった。しかし2024年1月5日、アラスカ航空が運航する、就航2カ月の737MAX9型機のパネルが飛行中に吹き飛ぶという事故が発生して以来、過去のトラブル事案に再び注目が集まり、ボーイング製航空機の品質への懸念が高まっている。
エンジニア兼航空安全の専門家として、ボーイングで10年以上、FAAで25年以上の勤務経験を持つジョー・ヤコブセン氏は、「そもそも手順通りに仕事が行われていないと見られる部分が随所にある」と指摘する。
「至るところに手抜きがあり、きちんとした仕事ができていない。これが問題の核心だ」
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
「737MAX」は、2018年と19年には墜落事故も起こしています。NYTの記事後半では、ボーイング社の現場を知る従業員たちの証言を報じます。
■頂点に君臨する存在…