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特集「8がけ社会」 韓国編④

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「移民」争奪戦 韓国のリアル④

 ソウルから東に車で1時間ほどの京畿道南楊州(ナムヤンジュ)市。高層マンションが立ち並ぶベッドタウンだ。とともに、古くから家具などの工場が集まり、多くの外国人労働者が暮らす街としても知られる。

 「のどが痛くて熱が出ています」。私(織田)が「外国人福祉センター」を訪ねると、約20人の外国人が、薬局で体調を伝えたいときに使う韓国語を学んでいた。

 この講座は、政府が2010年に本格運用を始めた「社会統合プログラム」の一つだ。全国の300カ所以上で、外国人が韓国語や韓国文化などを無料で学ぶことができる。履修状況に応じて、より長く滞在したり家族を母国から呼んだりできる在留資格を取るときに、韓国語力などはプラス材料となる。

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 韓国語の講座を受けていたスリランカ人の男性(37)は「永住許可を申請できる在留資格を取得し、母国から妻を呼び、韓国で長く暮らしたい」と語った。

 センターを運営しているのは「大韓聖公会財団」だ。センターの事務局長の張東満(チャンドンマン)さんによると、キリスト教の教会と京畿道の支援を受けて建てられ、05年にオープン。運営費用は市が負担している。

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 施設には、学習教室のほかにイベントホール、無料の歯の治療施設や保育施設、フィットネスジムなどがそろい、充実している。宿泊できる部屋もあり、外国人労働者が転職し、新しい勤務先に移るまでの間に使われているという。

 取材を終えて、次はソウルからみれば南東にある忠清北道陰城(ウムソン)郡に向かった。唐辛子や高麗ニンジンの産地だ。産業団地もあり、韓国のなかでも外国人の住民の比率が高い地域として知られる。

【連載】「移民」争奪戦 韓国のリアル

 「超少子化」に直面する韓国が外国人の働き手を増やそうとしています。日本とも共通する課題に取り組む現場の今を探ろうと2人の記者が取材に向かいました。記事後半では、増える外国人との間で「摩擦」を抱えながらも、共生の道を探る韓国社会の今を追います。

 約1時間半後、商店街の一角…

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