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米西部モンタナ州のマルムストローム空軍基地内の整備施設で、巨大トレーラーの荷台に納められた大陸間弾道ミサイル(ICBM)=2021年2月17日、渡辺丘撮影

 日米両政府は28日午後、核戦力を含む米国の戦力で日本への攻撃を思いとどまらせる「拡大抑止」を強化しようと、初めての閣僚会合を東京都内で開く。ロシアがウクライナ侵攻で核兵器使用をちらつかせ、中国と北朝鮮が核戦力を増強させて東アジアの安全保障環境が悪化するなか、米国は自身の核戦力を背景にした抑止力は信頼に足るものだと日本や韓国などの同盟国に示す必要性に迫られてきた。今回、日本側の不安感を払拭(ふっしょく)するため、初の閣僚級会合の開催に米国が応じた格好だ。

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 この日の拡大抑止をめぐる閣僚級会合は、日米両政府の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)に引き続いて行われる予定で、来日中の米国のブリンケン国務長官、オースティン国防長官と、上川陽子外相、木原稔防衛相が出席する。両政府は4月の首脳会談の共同声明に、拡大抑止について「突っ込んだ議論」を閣僚間で行う方針を明記。今回の閣僚級会合で、共同文書のとりまとめに向けた検討の着手などを協議する見通しだ。

 拡大抑止(Extended Deterrence)とは、自国のみならず、同盟国への攻撃に対しても核兵器や通常兵器で報復する意思を示し、敵国に攻撃を思いとどまらせることを指す。日米両政府は2010年以降、外務・防衛当局の実務者で構成する「日米拡大抑止協議(EDD)」を年に1、2回程度、定期的に開催。背景には、オバマ米政権が「核なき世界」を打ち出したことにある。これに「核の傘」の提供を受ける日本側が危機感を抱き、「『核の傘』の重要性を伝える場」として米側にEDD立ち上げを求めた経緯がある。EDDでは米側が日本政府当局者を米国内に招き、核搭載可能な戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射管制センターなどを見せることで、日本政府を安心させる場として機能してきた。EDDに詳しい防衛省幹部は「米側は『だまって米国についてこい』という雰囲気だった」と明かす。

 しかし、近年になって日本政…

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