「米軍など連合国軍による占領で、日本は平和国家に生まれ変わった」。戦後しばしば語られてきた言説だ。歴史研究者で大阪大学教授の藤目ゆきさんは、これは「神話」だと指摘します。米兵による犯罪や事故で多くの民間人が犠牲になり、朝鮮戦争で在日米軍基地が出撃拠点となったことをどう考えるのか。来年は戦後80年。戦後日本の「不都合な真実」を語ってもらいました。
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――第2次大戦に敗れた日本は米軍を中心とした連合国軍によって1945年から6年8カ月間、占領されました。この間、占領軍の事故や犯罪で多くの人々が犠牲になりました。なぜ、この問題に注目するのですか。
「日本は、占領政策のもとで軍国主義から平和な民主主義国家に生まれ変わったと言われます。後にイラク戦争で米国などがイラクを占領した際も、日本が成功モデルとして持ち出されました。しかし、これは大いなる神話です」
――「神話」とは初耳です。なぜですか。
「占領軍による事故や犯罪で…