「著作権なんて大嫌い!私はすべての知識は無料であるべきと信じています」
そのサイトは、著作権への敵意をむき出しにした宣言文を掲載していた。
サイト名は「Sora」。「広辞苑無料検索」と題したページがあり、そこの検索窓に単語を入力すれば、複数の日本語辞書にある意味や用法を、無料で横断検索できた。
使われていたのは、「広辞苑」第六版や「大辞泉」といった辞書、慣用句辞典やことわざ辞典などのデータだった。出版社側の調べで後に判明したことだが、20年ほど前にパソコンの普及とともに相次いで販売されたCD―ROM形式の辞書をもとにしたデータが使われ、その数は、サイト発見当初の18から最終的には37まで増やしていた。
辞書にも海賊版サイトが存在していた。
サイトに奇妙な点も
日本の出版関係者がこの存在を知ったのは、2018年10月のことだった。
ただ、奇妙だった。この手の…