日米豪印4カ国による戦略対話「QUAD(クアッド)」の外相会合が29日、東京都内で開かれ、海洋進出を強める中国を念頭に「現状変更の試み」を牽制(けんせい)する共同声明を発表した。日米は28日の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で中国の外交姿勢を厳しく批判したのに続き、豪印を加えて対中を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現を進める姿勢を強調した。
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クアッドの外相会合は昨年9月以来となる8回目で、上川陽子外相のほか米国のブリンケン国務長官、豪州のウォン外相、インドのジャイシャンカル外相が参加した。
日米2プラス2の共同発表は中国の外交政策を「他者を犠牲にし、自らの利益のために国際秩序を作り変えようとしている」としていた。クアッドの共同声明は中国を名指しすることは避けながら、中国が海洋進出を強める南シナ海や東シナ海の状況について「深刻な懸念」を表明。「力または威圧により現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも強く反対する」と記した。中国が途上国の返済能力を超えたプロジェクトを実施し、重い借金を負わせる「債務のわな」も念頭に、「我々は、持続可能で透明かつ公正な貸し付けおよび融資慣行により債務危機に対処している」とした。
声明は北朝鮮による核・ミサイル開発も非難。一方、太平洋島嶼(とうしょ)国や東南アジアでの海洋安全保障に加え、通信整備やサイバーセキュリティー、災害救援などでの支援を盛り込んだ。上川氏は共同記者発表で「国際情勢が不透明さを増す中、日米豪印が課題解決を約束し、着実に果たし続けていくことが確認された」と述べた。
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