記者解説 社会部・遠藤隆史
性的少数者の権利を後押しする司法判断が相次いでいる。
日本に限らず、世界中で「男・女」の二分論と異性愛を前提とする社会制度がつくられてきた。その枠組みからはじかれた人たちが、当たり前のように扱われてきた制度を裁判で問い直している。
そして、裁判所の判断はケース・バイ・ケースながら、おおむね前向きに応じるようになっている。最近の司法の動きからは、そんな大きな流れが見てとれる。
象徴的なのがこの1年あまりで最高裁が示した四つの判断だ。
最もインパクトがあったのは、トランスジェンダーをめぐる昨年10月の決定だ。戸籍上の性別を変える際、生殖能力を失わせる手術を求める「性同一性障害特例法」の要件を憲法違反で無効とした。
ポイント
性的少数者の権利回復につながる最高裁の判断が、1年あまりで4件相次いだ。政治が動かないなか、不利益にあえぐ性的少数者が提訴せざるを得ない構図がある。社会の変化も司法を後押しする。今後の焦点は同性婚を最高裁が認めるかどうかだ。
裁判官15人全員による大法…