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 オーケストラ音楽から電子音楽まで幅広い作風で国際的に活躍し、戦後日本の音楽界を先導した作曲家の湯浅譲二(ゆあさ・じょうじ)さんが7月21日、肺炎で死去した。94歳だった。葬儀は近親者で営んだ。後日、お別れの会を開く予定。喪主は長男龍平さん。

 福島県郡山市出身。独学で作曲を始めた。慶応大医学部在学中に音楽評論家の秋山邦晴や作曲家の武満徹と出会い、同大中退後、51年に詩人の瀧口修造が命名した芸術家集団「実験工房」に参加。作曲に専念した。

 音楽を「音響エネルギーの運動」としてとらえ、スケールの大きい作品を多く手がけた。代表作に「クロノプラスティク」「内触覚的宇宙」シリーズなど。NHK大河ドラマ「元禄太平記」、NHKの「おかあさんといっしょ」、テレビドラマの「コメットさん」「木枯し紋次郎」、伊丹十三監督の映画「お葬式」の音楽も手がけた。

 後進の指導にも力を注ぎ、米カリフォルニア大サンディエゴ校で教授を務め、国内外の音楽祭の監修や作曲賞の審査も数多く担った。自作を編曲した「哀歌(エレジィ)」で今年、5回目の尾高賞を受賞。96年度サントリー音楽賞、2014年文化功労者。

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