能登半島地震による富山湾の水産資源への影響について富山県は7日、調査の中間報告を発表した。富山湾では今年、シロエビとベニズワイガニの漁獲量が過去最低を更新したが、その要因に地震による地形の変化などが考えられるという。
調査は県水産研究所が調査船2隻で実施した。シロエビは今年4~6月の漁獲量が59・8トン(前年同期比82%減)で、記録が残る1985年以降で最低だった。幼生の分布密度を調べると、神通川河口沖での個体数が今年1月は前年同期と同程度だったが、5月には前年同期の4%に激減した。
また、ベニズワイガニについても富山湾中央部の水深1千メートルでかごによる採捕調査を実施。過去10年間は1かご当たり平均31・1匹だったが、2月の調査では5・6匹と大きく減った。カニが堆積(たいせき)物に埋もれたり、逃げたりしたためと考えられるという。
さらに富山湾74地点の水深6~600メートルの海底堆積物を採取して有機汚濁の程度を表す硫化物を調査したところ、18地点で「望ましい」とされる水産用の基準を超えていたという。
同研究所の辻本良所長は「複数の箇所で海底地滑りなどによって地形が変化し、海底堆積物の性状も変わったことが明らかになった」という。「ベニズワイガニは生息数の回復に長期間を要する。シロエビは幼生から2~3年後の漁獲になり、(現状では資源の)回復に影響する」と述べた。(朝倉義統)