(11日、第106回全国高校野球選手権1回戦 山形・鶴岡東―福島・聖光学院)
思わぬ体の不調に見舞われながらも、チームを支える高校球児がいる。甲子園に憧れて全国から選手が集まる鶴岡東(山形)の3年生2人だ。進学後に起きた試練に立ち向かう2人はこの夏、選手という立場を離れ、甲子園の舞台に立つ仲間を後押しする。
埼玉県出身でマネジャーの定方楽依(さだかたらい)さんと、栃木県出身で「学生コーチ」の檜山竜輝さん。鶴岡東の選手として甲子園に出場した地元の知り合いや先輩を見て、同校に進んだ。
定方さんは、中学時代は遊撃手や二塁手だった。右足にしびれが出たのは高校1年の夏。通院したが症状は改善しない。ひざ下からくるぶしの上までが、少し歩いてもしびれるようになった。
1年以上たった2年の冬、東京の病院で神経障害などが起こる「コンパートメント症候群」と診断された。
今年1月に手術を受けてリハビリを始めた。だが、全力で野球をするには程遠い。それでも「どんな形でもみんなを支えたい」と気持ちを切り替え、2月末にマネジャーへの転身を決断した。
いまはノックや打撃練習の補助のほか、試合のビデオ撮影や相手校のデータ分析まで、幅広い役割を果たす。
一歩引いた立場になったからこそ、気づいた仲間の姿もある。倉又陽向投手(3年)と岩下剛大投手(3年)が試合後に反省点を書き出し、話し合う様子を目にしてきた。登板機会は多くなくても前向きな姿が、投手陣全体にいい影響を与えていると感じている。
檜山さんは中学時代、捕手や三塁手としてプレーした。
1年のとき、左手人さし指が…