市内の高校の入学者数を増やそうと、岡山県真庭市は高校の魅力を高める事業に活用する基金を創設した。基金の規模は2億円。生徒の意向を踏まえて学校側が具体的な事業を市に提案し、市が基金活用で後押しする仕組みだ。
市内には、いずれも県立の真庭高校、勝山高校と同校蒜山校地がある。このうち真庭高校は、1年生の定員120人に対し2023年度が84人、24年度が74人と、2年連続で100人を下回り、県教育委員会が進める統合再編の対象となった。
こうした中、市は高校の魅力化を図るため、「市ゆめ学び創造基金」という基金を7月に創設した。活用の対象となるのは、市内の高校生の成長や夢の実現を後押しする事業。
市によると、生徒が育てた農作物を販売する会社を設立した場合の運営資金、留学や視察、資格取得といったキャリア形成のための費用に充てることを想定。
部活動の遠征費用や指導力強化にかかる費用の支援も含まれるという。学校側からの提案を基に具体的に検討していく。
基金の原資には、23年度の決算剰余金を充てる。2億円規模だが、必要に応じて増額も検討するとしている。
太田昇市長は基金に関する条例制定を提案した7月の市議会臨時会で、「真庭市から高校を消すわけにはいかない。高校生応援基金だ」と説明。
記者会見では「(基金の活用で)生徒の将来が開けるような学校にしていく」と期待を語る一方、「本来は県がやるべきことだ」と苦言を呈した。
市内の中学から市内の高校への進学割合は、今年3月の中学卒業生で41.2%。5年前の61.9%から約20ポイント下落しており、市外流出が大きな課題になっている。(礒部修作)