住宅の窓やベランダから子どもが転落する事故が後を絶たない。7月にも死亡事故が起きた。子どもがよじ登ったり、簡単にすり抜けたり出来てしまう、建造物の「すき間」が要因になるケースも多い。専門家は保護者まかせではない、設計側や行政などによる対策の重要性を説く。
7月2日午後、札幌市の10階建てマンションの中層階に住む3歳の女児が転落し、脳挫傷で亡くなった。北海道警は、マンションの外階段から転落したとみている。
道警によると、外階段の壁の高さは約115センチ。女児の身長は約100センチで、踏み台になるようなものはなかった。一方で、各階の壁にはタテに幅約15センチのすき間があった。道警は、女児がこのすき間から転落した可能性が高いとみて捜査を続けている。
女児の母親は事故当時、体調が悪く、自宅で休んでいたという。女児はひとりで外階段に出てしまったとみられる。
同様の痛ましい事故は各地で起きている。2005年2月、岡山市の10階建てマンションの階段の踊り場から3歳児が転落して死亡。踊り場の手すり(高さ約115センチ)の支柱と支柱の間のすき間(幅約15センチ)から転落した可能性が高いとされた。
17年4月にも、埼玉県行田市で歩道橋の転落防止柵の間から1歳児が転落し、頭を打つ大けがをした。柵の間隔は15~20センチあり、転落を防ぐ柵としては不十分との指摘があがった。国土交通省は同年夏に全国の自治体に対策を呼びかけた。柵の間隔や柵と路面との間隔が15センチ以下になっていないものについては、金網やロープをつけるなどの対策をしたという。
消費者安全調査委員会が今年6月にまとめた経過報告によると、9歳以下の子どもが住宅から転落して死亡する事故は、1993年から昨年までの31年間で170件発生。年平均5件以上のペースで起き、1~4歳で多発しているという。
専門家「対策が保護者だけにゆだねられている」
大阪工業大学の吉村英祐(ひ…