岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、熊本市を訪れ、派閥の裏金事件に関し党幹部が各地で意見を聞くための集会に初めて出席した。首相は集会で「心からおわび申し上げる」と陳謝した。また、記者団に対し、党所属議員らの処分の見直しは行わない考えを示し、今後は再発防止に向けた政治資金規正法の改正に取り組むとした。
集会は「政治刷新車座対話」と銘打ち、3月下旬から始まった。党熊本県連本部での集会の冒頭、首相は「党に縁のあるみなさまに肩身の狭い思いをさせてしまっている」と述べた。出席者からは「多くの国民の怒りは沸点に達している。厳正な(規正法の)改正を成し遂げてほしい」との意見も出たが、多くは政策への要望だったという。
首相は集会後、記者団の取材に「厳しい意見も頂いた。真摯(しんし)に反省し、信頼回復に努めなければならない」とした上で、「政治と金の問題の事実の解明は引き続き大事だが、規正法改正も今国会で結果を出さなければならない」と強調。処分に対する党内の不満については「党の決定に基づき一体で取り組んでいくのが自民党だ」と述べた。
一方、立憲民主党の泉健太代表は裏金事件に関し、島根県内で記者団に「国民が求める明らかにしてもらいたいことは何も出てこない。幕引きを図っている」と指摘した。(谷瞳兒、伊沢健司)