JR喜多方駅(福島県喜多方市)から車で15分ほど。山道を抜けると突如、視界が開ける。目に飛び込んでくるのは石造りの橋脚の「一の戸橋梁(きょうりょう)」だ。高さ25メートル、長さ445メートル。背後に飯豊連峰を従え、一ノ戸川を渡る。1910年の完成当時、「東洋一」の規模を誇ったといわれる。
【撮影ワンポイント】一の戸橋梁
鉄道ファンだけでなく、観光客にも人気の鉄橋は築100年以上。その存在感にSLが負けないよう、黒煙が空にたなびく画角で撮影した。客車はSLとしては長い7両編成。長さ445メートルの鉄橋とのバランスも考えた。大きな汽笛を残し、ゆっくりと渡ってゆく。手を振る乗客にこちらも大きく手を振り、撮影を終えた。(嶋田達也)
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7月中旬の週末、県内外から訪れた多くの「撮り鉄」たちが、ここでカメラを構えた。お目当ては、橋を渡るJR磐越西線の観光列車「SLばんえつ物語号」(新潟・新津駅―福島・会津若松駅)。汽笛を鳴らし、黒煙をたなびかせてゆっくり橋を通過すると、皆が列車に向かって手を振った。
千葉県香取市から訪れた伊能崇税(そうえつ)さん(63)は、ここに通って10年以上。飯豊連峰が残雪で白く輝く春先が特にお気に入りだという。「全国でSLの引退が相次いでいるので、走り続けてほしい」
SLばんえつ物語号で使われている蒸気機関車「C57 180」は1946年に製造された。69年に廃車となり、その後は新潟県新津市(現・新潟市秋葉区)の小学校で保管された。沿線住民の要望で1999年、30年ぶりに復活。以降、春から秋にかけて定期運行している。
非電化区間の魅力 全国が注目
一の戸橋梁が注目されるよう…