(19日、第106回全国高校野球選手権大会準々決勝 京都国際4―0智弁学園)
2点リードの五回1死二塁。安打と犠打でつくった好機に、5番で左打者の長谷川颯(はやて)さん(2年)が打席に立った。
「強くたたいて転がせば、何かある」
高めに浮いた変化球を思い切り引っ張った。ゴロになった打球は、一塁手の手前で大きく弾んで、外野へ抜けた。
二塁走者の沢田遥斗(はると)さん(3年)が一気に生還し、追加点を奪った。
長谷川さんも喜びをかみしめた。「チームに貢献するという思いでやっているので、結果が出てうれしい」
智弁学園(奈良)は、3年前の準決勝で先輩たちが敗れた相手。「4強に入った先輩たちを超える」という目標を掲げる今年のチームにとっては、乗り越えなければならない壁だった。
「この試合に勝って歴史を変えよう」
そんな思いを胸に臨んだ試合で、低く、強い打球を意識し、バットを振り込んできた成果が出た。
この試合を含め、甲子園の4試合で13打数7安打。二塁打1本を含むこの日の2安打は、好投を続ける同級生の左腕・西村一毅さん(2年)を「助けたい」という気持ちで打ったという。
準決勝の相手は、今春の選抜大会で惜敗した青森山田(青森)だ。
「甲子園の借りは、甲子園でしか返せない。チャレンジャーとして戦いたい」(八百板一平)