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熊本地震で被災後に修理され、国の重要文化財になった吉田松花堂の離れ「十五畳」の広間=熊本市中央区、吉田松花堂建造物等調査委員会提供
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 熊本地震(2016年)で被災した歴史的建造物が修理され、次々と国の文化財になっている。文化財の指定がないと公的な修理補助がなく、解体の恐れも高まるが、民間の寄付を元にした基金を活用。被災地の建物を守る先駆的な取り組みとして注目される。

 熊本市の城下町にある明治期の大邸宅「吉田松花堂」。ドイツの医師・シーボルトの教えを受けた町医者が開発した薬の製造販売を手がけてきた商家で、1877年の西南戦争で焼失後に再建された。だが、熊本地震で屋根瓦が数千枚落ちて土壁に亀裂が入る大規模半壊の被害を受けた。

 県や市の文化財指定はなく、本来なら修理は全額が所有者負担になる。「自分の力だけでは復旧は難しい」という所有者に、民間の寄付金を財源に県が管理する「熊本地震被災文化財等復旧復興基金」(文化財基金)が助けになった。補助を受け、調査と修理を経て、今年1月に国の重要文化財となった。

 文化財基金は、民間からの寄付で集まった45億円が元になりました。記事では、その先駆的な取り組みを紹介し、課題についても考えます。

 文化財基金は、地元の経済界…

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