ニュータウン再生㊤
6月上旬の土曜日。埼玉県所沢市の戸建て団地「所沢ネオポリス」で、古びた公民館に住民ら約10人が車座になった。
議題は「団地内の調整池の活用」だ。
「犬を飼っている人が多いから、ドッグランに使えるんじゃないか」
「飲食イベントをやれば、参加率は高いはず」
「ガレージセールをやってみては」
清水悠貴(39)は手元の資料に目を落としながら、住民の意見に耳を傾けていた。清水はここの住民ではない。この団地を約50年前に造成した大和ハウス工業の社員だ。高齢化が進む団地にかつての活気を取り戻すため、清水は2021年から週3日、東京から通う。
所沢ネオポリスは、西武線新所沢駅から車で約10分。雑木林や畑があった約13万平方メートルの平らな土地に、戸建て約680軒が並ぶ。1970年から入居が始まり、都内で働く子育て世帯が多く移り住んだ。
74年から団地に住む小原修…