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価格が高騰したスポーツモデルのビンテージロレックス

記者コラム 「多事奏論」 編集委員・後藤洋平

 海外でロレックスなどの高級腕時計を仕入れる「バイヤー」の仕事をしていたつもりが、立て替えた代金が振り込まれずに多額の借金を背負うようになったという被害を訴えている人々がいる。東京や大阪の繁華街での時計専門店への強盗事件、シェアリングサービスに貸し出した高級時計が返却されず無断で販売されたケースもあった。

 海外の著名オークションでは、「完全なオリジナル」として約3億8千万円で落札されたオメガの名作ビンテージウォッチが、実は製造年代の違う部品が組み合わされたものだった。この詐欺事件には、スイス本社のブランド幹部が関与していたとされる。近年、高級腕時計にまつわる不穏な出来事が国内外で目立つ。

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 背景には、一部の人気高級時計が「資産」として捉えられるようになった現状がある。例えば、四半世紀前に定価の約40万円で購入したロレックスのスポーツウォッチが現在は中古価格でも3倍になっているといったケースはよくある。現行商品でもロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲなど一部の人気時計は品薄のため、正規店で購入した直後に中古品を扱う店に持ち込めば「未使用品」として定価の数倍で買い取ってくれる。

ブランド関係者「中古市場の評価、ありがたい」。その理由は

 ブランド側は一定期間以内で…

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