1日おきに支店の店舗を開ける「隔日営業」を、地方銀行が相次いで導入している。低金利を背景に従来型の銀行業で苦戦し、店舗網は縮小が進む。地域で金融機能を維持するため、人員を絞って支店を残す選択肢として広がりつつある。
6月下旬。奈良県御所市の南都銀行吉野口支店に、月末の用事を抱えた利用客が続々と訪れた。
メーカーの経営者の70代男性は給与の振り込みに来たという。南都銀とは半世紀のつきあいで、以前は融資も受けた。ただ、以前から得意先として取引があったのは、ここから約3キロ離れた、市内の掖上(わきがみ)支店だ。掖上支店が休業日だったため、営業する吉野口支店を訪れた。両支店とも隔日営業で運営している。
奈良県を地盤にする南都銀は2020年春、隔日営業に踏み切り、県内の計4支店で取り入れた。近隣の2支店をセットにし、片方の店舗は月・水・金、もう一方は火・木のみ開ける。行員は両支店を兼務し、吉野口と掖上の両支店で働くのは、以前の計約10人から約5人と半減した。
支店を訪れた男性は「当初は(手続きが)スムーズにいくか不安だった」と振り返るが、「どちらにいっても窓口の行員は変わらないので問題はない」と話す。
30店舗統合で、年4億円のコスト削減 それでも4支店は維持
周辺は県産のブランド木材「吉野杉」など林業関連産業が盛んだった。スイーツなどに使われる吉野葛の生産地でもあるが、「地元経済の勢いは以前と比べると、おとなしい」(安川和宏支店長)のが実情だ。さらに、両支店の周りは住宅街で、利用者は高齢者を中心とした個人。来店客数は減少傾向にあった。
店舗運営のコスト削減は課題で、南都銀は年間4億円の削減を見込む大規模な再編に踏み切った。店舗内店舗方式で30店舗を統合することが中心だったが、一部拠点を隔日営業にして残した。
営業サポート部の五島聡副部…