今を生きる私たちは、みずからの意思決定が未来に及ぼす影響を、どうすれば「自分事」にできるのか――。公共経済学者の西條辰義さんは、フューチャー・デザインという方法を提唱します。将来世代の「声」が聞こえてくるようですが、どんな方法なのでしょうか。
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たとえば、今を生きる世代に電気が必要だからと原発を造るとします。でも、高レベル放射性廃棄物はどう処分するのか。そうした議論の際、影響が及ぶ将来世代の声を、私たちは聞いているでしょうか。
マーケットも、目先の需給を調整するには非常に優秀な仕組みです。しかし、将来世代の人は「その資源は使わずにとっておいてほしい」と言うことも、買うこともできません。
そんなデモクラシーやマーケットの仕組みに、将来世代の声を採り入れていこうというのが、私が研究する「フューチャー・デザイン」の考え方です。10年ほど前から、岩手県矢巾町や京都府宇治市など10近い自治体で実践しています。
その方法のひとつは、将来世…