観客のいない大ホール。銀色に輝くユーフォニアムから、流麗なパッセージや深い音色の旋律があふれた。
台風10号の影響で日程が変わり、3日に「無観客」で開かれた関西吹奏楽コンクール高校A部門。県立西宮(兵庫)の佐野奈桜(なお)さん(3年)は、指揮をじっと見ながら胸に抱えたユーフォニアムを華麗に吹きこなした。
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中学校では木管のクラリネットを吹いていた。高校に入ってから、やわらかくて温かい音色に憧れていた金管のユーフォニアムに変えた。
吹奏楽部の部内オーディションなどで選抜したメンバーで、毎年のように関西大会に進む県立西宮。部のレベルに、木管から金管に変えた「初心者」がついていくのは大変だった。
それでも3年間がんばれば、コンクールに出られると思っていた。部では、最後となる3年生は全員出られるのが慣例だったからだ。
ところが。
3年生になる前の3月に新しい方針が決まった。今年のコンクールは、3年生も含む「全員オーディション」でメンバーを決めるという。
頭に「終わりやん…」との思…