北海道内の路線バスに、減便や廃止が相次いでいる。コロナ禍や「2024年問題」で、運転手が足りなくなっているからだ。どうやって地域の足を守るのか。運行会社や地元自治体は模索するが、解決への道筋はまだ見えない。(丸石伸一)
最終便が出る20分ほど前から、JR千歳駅前(北海道千歳市)のバス停に人の列ができた。近くの宅配会社で仕事を終え、先頭で待つ男性(33)は、この路線の減便に不安を募らせる一人だ。
運行する千歳相互観光バスは4月のダイヤ改定で、2023年1月より20便減(約30%減)となり、最終便の出発を午後9時35分に早めた。今回が2度目の繰り上げで、以前より1時間早い。
そのあおりで、男性は遅番につく月2回、最終便に間に合わなくなった。やむなく3千円出してタクシーを使う。「これ以上早まると、通常勤務の日も乗れなくなる」と心配する。
こうした減便や路線廃止の影響は全道に広がる。最大手の北海道中央バスは昨年12月、過去最大規模となる約640便、今年4月にも310便あまりを減便・廃止した。主要都市の路線バスも同様で、都市を結ぶ中長距離バスにまで及ぶ。
多くの会社が運転手不足を理由に挙げる。北海道バス協会によると、加盟する道内主要バスの運転手は30年前から3割減った。コロナ禍で拍車がかかった後に、運転手の残業規制を強める「2024年問題」が追い打ちをかけている。
人材確保「なりふり構っていられない」
「人員確保のためにはもう、なりふり構っていられない」。大手バス会社(札幌市)の幹部はこう話す。
27年ぶりに市内路線バスの…