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2024年9月5日、モスクワで新しく開業した地下鉄ポタポボ駅を利用する人々=AP

 ロシアによるウクライナ侵攻から2年半が過ぎました。ロシアの国防関連予算は全体の3割を超え、旧ソ連末期の水準に達しました。防衛研究所理論研究部の秋本茂樹主任研究官は、ロシアの戦時経済体制について「短期的には大丈夫でも、長期的な見通しは立っていない」と語ります。

 ――ロシアは、特にどの分野で国防関連予算を増やしているのですか。

 国防予算の詳細はこれまでも公表されておらず、ウクライナ侵攻後はさらに不透明になっています。多くの専門家は、侵攻で消耗・損失した砲弾・ミサイルや装甲車などを急速に補充するために予算を増やしていると推測しています。戦線を維持するためには、たとえ精度が劣るとしても、北朝鮮製の弾薬を補完的に使う必要があるとも分析しています。

 ロシアはソ連崩壊後、弱体化した国防産業基盤を再生・強化するため、2011年から、5年ごとの見直しを含む10年単位の国家装備計画のもと、約20兆ルーブル(約31兆円)をかけて近代的装備品の生産能力の再構築に着手しました。17年には予算を増額して25年を目標とする近代化を進めてきましたが、ウクライナで通常兵器の消耗が激しいため、予算をさらに増やしていると思われます。

 ――今年春には経済専門家の…

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