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会見で当時を振り返る元社員の男性=兵庫県尼崎市

 日常的に罵倒されるなどのハラスメント行為を受けたとして、ステーキレストランなどを手がける「三田屋」(神戸市)の元社員の40代男性が12日、同社と男性役員に対し、慰謝料など約1600万円を求める訴訟を神戸地裁尼崎支部に起こした。

 訴状によると、男性は2011年にハム工場へ異動したあと、役員から「ボケ」などと罵声を浴びせられたり、相談しようとしても無視されたりしたと主張。滑舌が悪いのをなおすといわれ、業務中にインカムを通じて歌を歌わされることもあったほか、顔面を殴打されて唇が切れた、などとしている。

 退勤後や休日には大量の報告書の作成と提出を命じられた、とも主張している。

 15年には、報告書の提出が遅れたことに対し罰金を支払うよう指示され、当初は1千円や2千円だったが16年9月からは毎月4万円、ボーナス時には8万円となり、男性が業務を離れる23年3月までの総額は約467万円に上ったという。

 仕事の「ミス」をポイント化し、一定数になると罰金が取られるようなこともあったという。ミスは「滑舌が悪くて言葉がつまる」「いい訳をする」などだったという。

 元社員の男性は「働いていた当時は忙しくて考え込む時間がなかった。ことの重大さを分かっておらず、周りからは『マインドコントロールされている』と言われた。うやむやにしてはいけない問題だと思い、一歩踏み出した」と話した。

 三田屋は取材に「弁護士にすべて任せています」とした。(谷辺晃子)

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