アフリカ中央部を中心に「エムポックス(サル痘)」の拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)による2度目の緊急事態宣言から14日で1カ月となるが、感染者は増え続けている。エムポックスは2022~23年にも流行したが、今回はウイルスの系統が違い、より重症度が高い可能性も指摘されている。
エムポックスには、天然痘のワクチンが有効とされ、日本の製薬会社KMバイオロジクス(熊本市)と欧州のメーカーの2社が先月、WHOに緊急使用許可を申請した。WHOのテドロス事務局長は9月5日(日本時間6日)、SNSで欧州から寄付された9万9千人分の最初のワクチンがコンゴ民主共和国に届いたと報告し、「今週末には更に10万1千人分が追加で届く予定だ」と明らかにした。
WHOによると、今年1月から9月8日までに、感染疑いも含め、14カ国で計2万5093人の患者が確認され、723人が死亡している。アフリカ中央部のコンゴ民主共和国が最も深刻で、患者は2万1835人、死者は717人に上る。検査体制が不十分なため、実際にはさらに感染が広がっているとみられている。
エムポックスの原因ウイルスは大きく「Ⅰ系統」と「Ⅱ系統」に分かれる。Ⅱ系統は、22年5月から世界的に流行し、23年5月にWHOが緊急事態宣言を終了するまでに111カ国で約8万7千人の患者が確認された。男性の同性間で性交渉をもった人が、感染者の多くを占めた。
一方、Ⅰ系統は1970年代以降、アフリカ中央部で確認され、Ⅱ系統よりも重症化しやすい可能性が指摘されている。さらに今回は、従来のⅠ系統から派生した「Ⅰb系統」というタイプも急速に広がり、スウェーデンとタイでは、流行地域に渡航した人の感染も確認されている。
感染の広がり方も前回とは異…