NHKの連続テレビ小説「虎に翼」が、27日の最終回まで残りわずか。女性で初めて法曹の世界に飛び込んだ人物をモデルに、吉田恵里香さんが脚本を手がけた。これまでもマイノリティーを題材とした話題作を送り出してきた吉田さんに、大きな反響を呼んでいる「虎に翼」や脚本家としての姿勢について聞いた。
――第1話は、法の下の平等を定めた憲法14条の朗読から始まりました。その後も、作中で14条を何度も問いかけました。
(日本初の女性弁護士にして後に裁判官になった)三淵嘉子さん(1914~84)をモデルにしようと思った時に日本国憲法を最初から最後まで読みました。心に響いた条文は、14条。当時の人たちは公布された時、宝物のように感動しただろうと思った。
そして、今の私たちにとっても大事な14条だけれども、女性や性的少数者、外国人らへの差別意識は残り続けている。本当に法の下の平等が果たされているのか、と思いました。
女性への差別や偏見と闘ってきた主人公の寅子(伊藤沙莉)はもちろん、どんな登場人物やテーマを扱っても、自然と14条に引きつけられました。14条をここまで扱うことは自分でも予想外でしたが、人が人らしく生きるための根底、スタートラインなんじゃないかと思わされました。せめて、これだけでも守られる世の中になったらという気持ちを込めました。
吉田恵里香さんは10月26日、東京都内で開かれる朝日新聞社主催の「朝日地球会議2024」に登壇します。詳細と申し込みは(https://www.asahi.com/eco/awf/program/?program=13&pcode=digital1)。無料。
エンタメで当事者の思いを表現「歩みを止めない」
――轟太一(戸塚純貴)と山田よね(土居志央梨)の弁護士事務所の壁に憲法14条が書かれていましたが、そのアイデアも吉田さんですか。
これは私ではなく、演出の方によるアイデアです。台本では「壁に貼ってある」と書いた。「まさか、壁に書くとは」と思いましたが、よねならば書くかも。象徴的なすごく好きな演出です。
- 「虎に翼」花江は先進的で戦う専業主婦 カギとなるのは「優しい夫」
――テーマとして夫婦別姓が取り上げられ、寅子と航一(岡田将生)が「夫婦のようなもの」として共に生きていくことを決意します。轟と遠藤(和田正人)という同性カップルも登場しました。
こうしたテーマを取り上げる…