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「FIT」の旗を掲げ、支援先団体を先頭に、ランナーも一緒になってトラックを1周=2024年9月16日午後0時32分、国立競技場、長屋護撮影
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 さまざまな金融関係の会社で働く社員が、会社横断的に企画・運営するイベント「FITチャリティ・ラン」(朝日新聞社など後援)が16日、国立競技場(東京都新宿区)で開催された。103社から約4千人が参加し、競技場や外苑の周回コースで汗を流した。

 集まった寄付は約5578万円。今年で20回目を数えるが、これまでに貧困、介護、環境などの社会課題に取り組む非営利法人などの活動費として寄付してきた総額は約11億円になった。

 FITは「Financial Industry in Tokyo」の略。2004年のスマトラ沖地震の際に「何かできることはないか」との都内の外資系金融機関の呼び掛けで05年から活動が始まった。寄付先もスマトラ沖地震、東日本大震災など大きな災害の被災地支援に取り組む団体だけでなく、日々の社会課題の解決に取り組みながらも活動資金が十分ではない非営利団体にも広げている。

 支援先選定の先見性も評価が高い。実行委によると、食べられるのに廃棄される食品を受け取り、必要な人に提供する「フードバンク」の団体は18年前に、病児保育、赤ちゃん虐待などに取り組むNPO法人は15年前にすでに支援先に選んでいる。

 今年、新たに加わるのは8団体。高齢者介護における虐待を未然に防ぐ活動に取り組む団体や、子ども食堂を運営しながら不登校の子どもや若者の居場所づくりに取り組む団体、障害のある子どもらにスポーツや芸術に触れあう機会を提供する団体などで、寄付先はこれまでに計150団体を超え、この日の開会式には小池百合子都知事が「地域活動を展開する団体に光を当てている」などのビデオメッセージを寄せた。

 寄付金の原資は参加者からの参加費(1人6千円)と企業からの協賛金(1社あたり50万円以上)だ。大会には各金融機関のボランティア約500人が無償で携わることで運営費を抑制。会場費と警備費を差し引いて、集まった資金の約9割を寄付にあてることができるという。コロナ禍でもオンライン方式で大会を継続、寄付を途切れさせなかった。

 2年連続で参加した三菱UFJ銀行の原恵子さん(48)は家族5人で参加。「絆を深め、楽しみながら支援もできるのはいいですね」。共同実行委員長の表寛子(おもてひろこ)さんと仲矢裕(なかやひろし)さんは「多様化する社会課題には継続的に取り組むことが大事。次の20年に向けて活動していきたい」と話している。(長屋護)

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