NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで8月、中国人の外部スタッフの40代の男性が、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題をめぐり、NHKは9月10日、調査報告書をまとめ、国際放送担当理事の辞任を発表しました。同日の会見で、稲葉延雄会長は「いわば『放送の乗っ取り』とも言える事態」だと述べ、謝罪しました。今回の問題をめぐり、NHKに求められていることとは――。上智大学の音好宏教授(メディア論)に聞きました。
- lNHK、国際放送問題は「乗っ取り」 担当理事が辞任 調査報告書
――今回の事案の問題点は。
フリートークがない、ストレートニュースを伝える番組で、原稿の内容を逸脱した個人の意見が放送されました。この中国人男性の行動は、国際放送かどうかに限らず問題です。NHKが求めている業務に従わなかったのですから。
――NHKによると、中国人の男性は、放送前の打ち合わせで、靖国神社の石柱に落書きが見つかり警視庁が器物損壊事件として捜査しているニュースについて、「原稿はあいまいで、そのまま翻訳して中国語で放送したら、個人に危険が及ぶ」などと強く反発していたといいます。
NHKの国際放送は、アジアから発信される客観的事実に基づいたニュースを提供する国際放送として、その歴史的な蓄積も、その質・量ともに、北東アジアの中で一番信頼されているとされてきた。日本の文化や事情にも詳しい様々な言語の専門家が集められてきたからです。
問題は、OA前の対応
国際放送で働く人たちは、そ…