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記者会見するFRBのパウエル議長=2024年6月12日、ワシントン、榊原謙撮影

 4年半ぶりとなる利下げにこぎ着けた米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、激しいインフレ(物価高)と、次々に起こる想定外の事態にほんろうされ続けた。約3年に及ぶ歴史的インフレとの苦闘を、パウエル氏の発言からたどった。

  • 米FRB、0.5%の大幅利下げ インフレ退治から雇用重視に

 2021年4月。米経済がコロナ禍から順調に回復する裏で、異変が起きた。前年同月比0~2%台の推移が9年以上続いていた米消費者物価指数(CPI)の上昇率が、突然4.2%に跳ね上がったのだ。翌月からは5%台が続いた。

 8月。パウエル氏は西部ワイオミング州の景勝地ジャクソンホールでの毎夏恒例の講演で、物価指標の上昇についてこう言いきった。

 「一時的である可能性が高い」

 価格上昇している品目に広がりがないなど、五つの根拠を力説した。多くの経済学者らも似た見解だった。だが結果的にはこれが大誤算だった。

 パウエル氏の予想を裏切り…

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