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台湾の憲法法廷で4月23日に開かれた弁論はオンラインで生中継され、死刑制度は合憲か違憲かをめぐって双方が意見を述べあった=憲法法廷のウェブサイトから
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 死刑制度には違憲の疑いがあるとして、死刑囚37人が台湾の憲法法廷に憲法解釈を求めている裁判は、日本も無関係ではない。

 「影響力のある国々、例えば米国や日本、シンガポールなども死刑を堅持している。それゆえ死刑の禁止がコンセンサスを得た国際法の原則だということはできない」

 死刑は合憲だとする立場から、この法廷に意見書を提出している法務部(法務省に相当)の代表者は、4月23日に開かれた弁論で日本など死刑を維持する国の名前をあげて、合憲とする根拠とした。

 1983年に日本の最高裁が死刑の適用基準を示した「永山基準」にも言及。「日本の最高裁も死刑は残虐な刑罰にあたらず、憲法に違反しないことを認めている」などと指摘し、台湾と同じく「最後のやむを得ない刑罰」として認められていると紹介した。

【連載初回】冤罪なのに「認めなさい」と裁判官 生還した元死刑囚が注目する裁判

死刑制度は廃止(廃死)すべきだ――。台湾で死刑囚37人が起こしたそんな裁判の判決が、今月に言い渡される見通しです。死刑賛成派が多い台湾で、なぜ死刑の是非が問われるのか。現地の関係者を取材して考えます。

 東アジアで台湾と同様に死刑制度を維持している日本では、戦後早い時期から死刑廃止を求める声が上がってはいた。

 1950~60年代に2度、廃止法案が提出されたが廃案となり、以降は議論が停滞。内閣府が5年ごとに実施する世論調査では、2004年に存置を「やむを得ない」とする答えが8割を超えた。

死刑をめぐる日本の議論は

 理由は「被害者や家族の気持…

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