農業や森林業を担う人材を養成する東北農林専門職大学が8日、山形県新庄市に開学した。県立の4年制大学で、農林業系の専門職大の新設は東北では初めて。若い世代を受け入れる地元は、地域活性化の起爆剤にもなると期待している。
設置するのは農林業経営学部。農業経営と森林業経営の2学科があり、初年度は定員(40人)を上回る43人が入学した。
真新しいキャンパスの大講義室であった入学式では、吉村美栄子知事が「山形、東北のみならず、日本の農林業の未来を切り開く人材になることを期待している」とエールを送った。
新入生を代表してあいさつした森林業経営学科の工藤遼祐(りょうすけ)さんは、宮城県南三陸町出身。「木材の生産だけでなく、森林の経営や生態系について学びたい」と志望した。「ゆくゆくは地元に戻って森林に関わる仕事をしたい」。農業経営学科の奥山歩美さんは「実習先で経営を学べるのが魅力。将来は果樹栽培を手がけたい」と話した。
キャンパスは県が総事業費51億円をかけて新庄市に整備。実習場などを含めると約100ヘクタールの広さで、教育・研究棟(4階建て)と交流棟(2階建て)の2棟からなる。
専門職大は様々な職業で高い能力を持つ人材を養成しようと、2017年の学校教育法の改正を経て設置できるようになった。実践的な教育を重視するのが特徴で、同大では300カ所以上の実習先を用意した。
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最上地域にとっては初の4年制大学となるだけに、自治体の期待も大きい。1期生の4割に当たる16人は県外出身。新庄市の隣の舟形町は、若い世代や県外出身者に住んでもらおうと、学生向け10戸と教職員向け8戸のアパートを建設。学生の家賃は3万円台に抑え、アパートと大学を結ぶ無料送迎バスも用意した。こうした努力が実り、全室入居済みという。
担当者は「若い方々が町民と交流することで、地域の活性化につながれば」と話している。(高橋昌宏)