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米軍の西普天間住宅跡地で、建設が進む琉球大医学部と琉大病院=沖縄県宜野湾市

普天間が返ってきたら:上

 遠く海を一望するなだらかな斜面に、高層ビルの威容が現れた。沖縄県宜野湾市で建築が進む琉球大医学部と琉大病院のビルである。

 緑豊かなこの傾斜地はかつて、ゆとりのある敷地をもった平屋の米軍住宅が建ち、西普天間住宅地区(50・7ヘクタール)と呼ばれた。そこがいま「沖縄健康医療拠点」として生まれ変わろうとしている。

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 防衛省によると沖縄には約1万8500ヘクタールの米軍施設がある。全国の米軍専用施設の7割を占め、沖縄県の面積の8%になる。その負担を和らげようと日米両国は1996年、「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)で、普天間飛行場など約5千ヘクタールの返還で合意した。西普天間住宅はその中に含まれていた。

 西普天間の地権者は、返還されたら米軍住宅のような広い敷地の高級住宅地や中高層の集合住宅による再開発を考えていた。

 だが、2015年にいざ返還…

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