松江市の国宝・松江城近くで19階建てマンション(高さ57メートル)の建設が進んでいることについて、松江市の上定昭仁市長は24日の定例会見で、マンションの高さを引き下げるよう事業者の親会社社長に直接申し入れる考えを明らかにした。
マンションの建設予定地は松江市殿町の島根県庁前で、約500メートル先に松江城天守がある。マンション最上部が松江城天守より約3メートル高いため、松江城の周辺住民らが「城下町・松江の景観を著しく損なう」と建設中止を求めている。
京阪電鉄不動産(大阪市)が建設を計画し、3月下旬に着工。地盤の基礎工事が進められており、2026年7月に完成予定。
上定市長は今年3月以降、高さの引き下げなど事業者側に設計変更を申し入れてきたが、「特段進展がない」(上定市長)という。そこで9月定例市議会後の10月にも親会社の京阪ホールディングス(大阪市)社長に申し入れることにしたという。
上定市長は会見で「松江城より高い建築物が松江城の至近にできることは、松江らしい景観づくりを考える上で望ましいと思っていない。これから建築が始まっていく。行くとすれば、もう今しかない」と述べた。
マンション建設地は、高層建築物の立地が可能な「商業地域」。市景観審議会も「天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げない」とする景観基準を満たすと判断し、昨年11月に上定市長に答申した。(堀田浩一)