27日に最終回を迎えるNHKの連続テレビ小説「虎に翼」は、約60年前に被爆者が国を訴えた「原爆裁判」を重要なテーマとして扱いました。6歳のとき、米軍の空襲で左足のひざから下を奪われた大阪空襲訴訟元原告代表の安野輝子さん(85)=堺市西区=は、自らの歩みと重ねて見入ったといいます。話を聞きました。
- 「国際法違反」と断じた原爆裁判 「虎に翼」モデルの裁判官も担当
《「虎に翼」は、女性で初めて法曹界に飛び込んだ三淵嘉子さん(1914~84)の半生がモデル。戦後に裁判官となった三淵さんは、広島と長崎の被爆者5人が55(昭和30)年に国を相手に起こした「原爆裁判」の審理にかかわった。ドラマでは主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)が法廷で訴えを聞く場面が再現された》
この夏、暑さで義足をつけて外出することがままならなくなったこともあり、「虎に翼」はほぼ毎回自宅のテレビで見ました。「原爆裁判」は、戦争で傷つけられた庶民が国に補償を求めた裁判のひとつだと知っていましたが、朝ドラで取り上げられたことにびっくりしました。
ドラマでは、被爆して首や顔にやけどを負った若い女性が、原告として描かれていました。私はもっとひどいケロイドを負った人の姿を見てきましたが、涙が止まりませんでした。戦争が終わっても、我慢とあきらめの人生を強いられてきた庶民が多くいた現実に、あらためて悲しみと怒りを感じました。
《「原爆裁判」の原告らは原爆投下は国際法違反だと主張し、米国への損害賠償請求権を放棄した日本政府に補償を求めた。63年に言い渡された判決は原告敗訴だったが、国際法違反などを認定し、「政治の貧困を嘆かずにはおられない」という表現で被害者に寄り添わない国の姿勢を批判した。ドラマでは本物の判決文が約4分にわたってほぼ原文通りに読み上げられた》
「足はまた生えてくる」と考えていた少女時代
私はアジア太平洋戦争末期の…