千葉県山武市の田畑が並ぶ国道沿いに、民家のようなパン屋があった。中に入ると、ショーケースにパンが並ぶ。2017年にスリランカから来日したサティーク・モハマドさん(43)が経営する「アイマンベーカリー&レストラン」。市内に約960人が住むスリランカ人や住民のために、金曜日以外は店を開けている。
スリランカのパンは表面がふっくらしている。イーストを少なめに使い、一般的な日本のパンより長く寝かせるという。外はカリッとして、中は弾力感のある生地がのぞく。ふるさとの日々を思い出す一品だ。
サティークさんはイスラム系ムーア人の家庭に生まれ、スリランカ東部の海の近くにある小さな町エラブールで育った。住宅と田んぼが混在し、気ままに歩く牛の鳴き声とともに、潮の香りを運ぶ風が稲穂をなでる。そんなのどかな町で、銃声が響くのも日常だった。
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