きゃりーぱみゅぱみゅにKing Gnu(キングヌー)、Official髭男dism(通称ヒゲダン)ら人気ミュージシャンからひっぱりだこ。特殊メイクアップアーティスト・快歩(かいほ)さん(27)は、ゾンビやエイリアンだけじゃない「空想世界」で、特殊メイクの可能性を広げている。
空想好きの少年が漫画「墓場鬼太郎」と出会って……
カメレオンのように大きな目玉がついた謎の生き物や、緑と青色をしたウサギのマスク。都内にある仕事場を兼ねた6畳ほどの和室に、これまで手がけた作品がびっしり並ぶ。ひとことでは言い表せない、不思議なオーラをまとった「生き物」たちが、そこに実在している。
名古屋市出身。子どものころから、「普通とはちょっと違うもの」が好きだった。こんな妖怪がいたら楽しそうだな。友達がモンスターだったら? 現実にはいない空想上の生き物や「見えない世界」を想像しては、絵に描いたり、粘土で作ったり。同級生がポケモンなどのゲームに夢中になる中、黙々と手を動かしていた。「それが今も続いている」と笑う。
小学1年生のころ、自宅にあった水木しげるの漫画「墓場鬼太郎」に衝撃を受けた。「人を地獄に落としてしまうような、ヒーローじゃない鬼太郎や、毒々しい絵柄にひかれた」。妖怪への関心はさらに高まり、関連本や漫画を読み込んだ。
ティム・バートン監督の映画にも魅了された。高校卒業後の進路を考える際に、映画で知った特殊メイクを「やってみたい」。上京し、国内外で活躍する特殊メイクアップアーティストのAmazing JIROさんが主宰する専門学校で1年間、学んだ。朝はおにぎり店、夜は居酒屋のアルバイトで生活費や学費を稼ぎ、課題に打ち込む日々。「自分が妄想していた世界が、実際に出現して動き出すことに感動して、はまった」
「一番かっこいい服を着て」現場に臨むわけは
作品を発表していたSNSに…