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柏井大地さんがワサビ栽培を学ぶ「わさびの大見屋」のワサビ田=2023年12月1日、静岡県伊豆市、阿部育子撮影
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 19歳だった柏井大地さんは、アルバイトをして購入した車を住まいのあった都内から走らせた。「ワサビ農家になりたい」。そんな夢を実現させる方法を知りたい一心で、縁もゆかりもない静岡県伊豆市を訪れた。2022年6月のことだった。

甘くない伊豆のワサビ農業の事情

 東京都葛飾区で家族と暮らしていた柏井さんがワサビに目覚めたのは高校卒業後の浪人生のとき。行きたい大学があるわけでもない。本当にしたいことは何かと考えていた時期だった。

 中学校で理科を教える教員の父の影響もあり、幼い頃から生物や自然が好き。特に魚類に魅了され、図鑑を開けば時間を忘れるように見ていた。

 魚好きだから刺し身にあうものを連想したのか、テレビで栽培の様子を見かけたのか覚えていない。でも、ふと思った。「ワサビの農家って面白そう」

 ただ、ワサビ農家になるにはどうすればいいか、インターネットで検索しても情報がない。ならば、ワサビで有名な伊豆市に行ってみようと車のハンドルを握ったのだという。

 あてがあったわけではないが…

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