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 紅海の熱風が容赦なく吹きつける。アフリカ北東部スーダンの港町ポートスーダンで、男たちは汗をぬぐいながら、20キロの穀物が入った袋を倉庫に担ぎ込んでいた。「働くぞ! 家族のために!」。アラビア語のリズミカルなかけ声が響く。

  • 【そもそも解説】世界最悪の飢餓の危機 スーダンでなぜ戦闘長期化?

 「予定通りにいかず、チャレンジの多い現場をどう切り抜けていくか。そのことばかり考えています」。世界食糧計画(WFP)スーダン事務所の山崎和彦さん(61)は、積み上がる食料を確認しながら、そう明かした。

 1年半近く紛争が続くスーダン。「世界最悪の飢餓危機」が起きている現場で、輸送・物流部門のトップを務める。現地スタッフや世界各国から集まる同僚とともに、紛争の前線まで命をつなぐ食料を届ける。

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港に運ばれてきた穀物を倉庫に搬入する作業を見守る山崎和彦さん(右)=2024年9月2日、ポートスーダン、中野智明氏撮影

突然の首都退避、「輸送のプロ」の試練

 昨年4月、首都ハルツームで…

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