63人の死者・行方不明者を出した御嶽山(岐阜、長野県境、標高3067メートル)の噴火から10年となった27日、岐阜県側の下呂市職員らが山上で犠牲者を悼んだ。当時救助に携わった人たちは火山災害の風化を懸念しながら山の安全を願った。
この日早朝、岐阜県下呂市濁河温泉地区の登山口。9合目に市が所有する「五の池小屋」を目指し、市職員が約4・7キロの登山道に入った。
噴火時刻の午前11時52分。市職員や小屋関係者、登山客ら12人が、長野側の主峰・剣ケ峰に向かって黙禱(もくとう)し、花を手向けた。
市危機管理課長の青木幹典さん(56)は、噴火翌日、濁河の登山口から五の池小屋に向かった。市職員や民間の有志でつくる御嶽山山岳救助隊の隊員だった。
登山道を下ってくる人たちの服は火山灰まみれだった。「噴火のすごさがイメージできたが、負傷者を早く山から下ろすことばかり考えていた。必死だった」
火口域から約2・5キロ離れた五の池小屋には、長野側から登山者が次々に逃げ込み、2人の重傷者もいた。
聞こえてこない「あれから10年」の声
27日は、噴石が飛び、火山…