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京都大学=京都市左京区

 女性が発症するがんで最も多い乳がんは、リンパ節への転移が進行度の一つの指標となっている。がん細胞が転移したリンパ節では、特定の免疫細胞が大きく減っていることを、京都大と三重大、東北大などでつくる研究チームが突き止め、専門誌に発表した。乳がん治療の新たなターゲットになる可能性があるという。

 この免疫細胞は、「CD169」というたんぱく質を表面に持つマクロファージ(CD169陽性マクロファージ)。マクロファージはがん細胞の破片を食べ、その情報を代表的なリンパ球であるT細胞に伝えることで、がん細胞への本格的な免疫を引き起こす重要な役割を果たしている。

 日本では年約10万人の女性が乳がんを発症し、約1万5千人が亡くなっている。乳がんではわきの下のリンパ節に転移し、そこからほかの臓器などにさらに転移することが多く、リンパ節転移が多いと生存率にも大きくかかわってくる。

 数多くの免疫細胞が存在するはずのリンパ節で、なぜがん細胞が排除されずに転移するのか。研究チームは、外科手術を受けた6人の乳がん患者から採取された、がん細胞が転移したリンパ節と転移していないリンパ節でどんな違いがあるのか、遺伝子の働き具合を網羅的に調べた。

 その結果、転移リンパ節でこ…

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