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 全国的に駅員のいない「無人駅」が増え、地域で歴史を刻んできた木造の駅舎の撤去が進む中、人口減時代に見合った駅づくりの模索が四国で始まっている。鉄道会社と自治体が利害を調整し、新たな「地域の顔」を一緒に造る例も出てきた。

  • 築百年の駅舎がバス停同然に JR四国進める駅の簡素化 反対運動も

 特急列車も停車する高徳線引田(ひけた)駅(香川県東かがわ市)は2022年3月に利用者が少なくなったとして無人化された。業務効率化を進めるJR四国はさらに、築90年以上の木造駅舎の解体を打ち出した。

写真・図版
解体前の木造の引田駅=2024年7月31日午後2時27分、香川県東かがわ市引田、福家司撮影

 引田駅では、地元のまちおこし団体「風の港まちづくりネットワーク」が七夕やクリスマスに電飾を設置したり、清掃活動をしたり駅を守る活動に取り組んできた。メンバーからは、愛着のある木造駅舎を維持するよう求める意見が出た。

 JRは木造駅舎の無償譲渡を打診したが、市は補修、耐震化などの経費がかかりすぎるなどとして断念。ただ、引田地区が来年の瀬戸内国際芸術祭の会場となることから、市の負担でトイレを整備すると決めた。

 さらに協議を重ねる中で、JRが待合室、市がトイレを作り、2つの建物を大屋根で覆って一体化するアイデアが浮上した。

赤字縮小に取り組むJRにも受け入れ可能な案

 費用の負担は、JRが木造駅…

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