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住宅ローン

 9月末、東京都の会社員の樋口遼さん(30)は、妻とともに住宅ローンの相談に訪れていた。固定金利の住宅ローン「フラット35」に力を入れるSBIアルヒが都内に設けたセンターだ。戸建て購入の資金として6500万円を借りる予定で、樋口さんは「金利の先行きは見通せない。返済額が変わらない固定金利もいいなと考えている」と話す。

 相談する金融機関はSBIアルヒで8社目だ。変動金利を中心に金利の低さを重視するが、金利が上がれば返済額も増える。「変動と固定で決めきれない」

 3メガバンクなどが変動金利の引き上げに動いたきっかけは、日本銀行が政策金利を引き上げたことだ。3月にマイナス金利を解除して17年ぶりの利上げに動き、7月には追加利上げを決めた。この金利を基準に決まる「短期プライムレート」を各行が引き上げていたため、今回はそれを反映した。

 日銀は今後も利上げを進める考えで、変動金利はさらに上がる可能性がある。

 住宅ローン利用者の関心も急速に高まっている。住宅金融支援機構が4月に実施した、住宅ローンの利用者調査では、前回調査(昨年10月)よりも「住宅ローン金利は上昇する」との回答割合が大きく増加。傾向の急変を受け、5月に補完調査をすることになった。

 その調査では、今後の住宅ローン返済で不安に思っていることとして「借入金利の上昇」を選んだ割合は約65%(複数回答可)を占めた。金利変動リスクに不安を感じるようになったという回答は6割弱で、いま知りたいことは「金利上昇時の返済額シミュレーション」が最も多い結果となった。

返済額の変動抑える「5年ルール」と「125%ルール」

 家計の負担はどうなるのか。住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの試算では、変動金利で3500万円を適用金利0.5%で借りていた場合、今回の引き上げで返済月額は約2300円増える。日銀がさらに0.25%幅の利上げをした場合は、約6300円増える見通しだ。

 通常、変動金利は4月と10…

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