「液晶のシャープ」の終わり①
「人気の返礼品だったので残念。税収が減るのは財政的にも厳しい」
6月、堺市の永藤英機市長は定例会見で、ふるさと納税の返礼品からシャープの液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」が外れることを惜しんだ。
シャープ堺工場の生産停止で、テレビの生産は地元と切り離された。返礼品は総務省の告示で「原材料の主要な部分が区域内で生産された」地場産品などと決められている。寄付総額約15・5億円のうち2割強を占める「稼ぎ頭」を失ったのは痛手だ。
「世界最大、最新鋭」「21世紀型コンビナート」……。華々しいうたい文句とともに、2009年10月に稼働を始めた堺工場は、今年8月21日、最後の液晶パネルの生産を終えた。従業員800人のうち、主に生産に携わっていた500人は希望退職で会社を去る。
ただ、工場停止による地域への影響は、他の面では驚くほど少ない。
堺工場は、大阪湾に面した新…