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2024年9月23日の、ロシア軍哨戒機IL38の航跡=防衛省・自衛隊ホームページから
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 防衛省は9月23日、ロシア軍のIL38哨戒機が、この日3度にわたって北海道礼文島北方の領海上空を侵犯したと発表しました。緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊機は、ミサイル攻撃を避ける際に使う、強い光と熱を出す「フレア」を初めて使いました。同月25日には海自護衛艦が初めて台湾海峡を通過しました。航空幕僚長を務めた杉山良行元空将は「従来の対応にとどまらないという強いメッセージを出さなければいけない状況になっている」と語ります。

 ――ロシア軍機IL38哨戒機はどのような航空機なのですか。

 私もF4戦闘機パイロットとしてスクランブルした際、IL38と遭遇しました。海自のP3CやP1のような哨戒機です。機体の最後部にしっぽのように延びたMAD(磁気探知機)を備え、潜水艦を探知することもできます。

 これまでの経験から、ロシアは中国と違い、偶発的な国際紛争に至る危険性については理解しています。中国軍の戦闘機は、空自の戦闘機に平気で異常接近しますが、ロシア軍機はやりません。国際経験が豊富で、それなりの常識はあると思います。私がスクランブルした際、ロシア軍機のパイロットがコックピットの中で、紙に描いた「日の丸」を見せてきたこともあります。

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 ――木原稔防衛相(当時)は…

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