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パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで2024年7月10日、イスラエル軍の攻撃でがれきと化した街を歩く人々=ロイター
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 パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が始まってから、7日で1年が経つ。ガザでは6日現在で4万1870人が死亡し、人口の9割に当たる190万人が家を追われた。戦火はレバノンなどにも広がり、危機が収まる兆しは見えていない。

 イスラエル軍は、ハマスとの共闘姿勢を示してイスラエル領内を攻撃したレバノンの親イラン組織ヒズボラとも昨年10月から攻撃の応酬を続け、今月1日にはレバノンへの地上侵攻に踏み切った。軍は5日、地上作戦でヒズボラの戦闘員440人を殺害したと発表。一方、レバノン政府によると、過去1年間の合計死者数は2011人に上る。

 国連が公開しているガザ保健省の統計によると、身元が特定できた死者3万4344人のうち、女性は2割近い6297人。子どもは3割超の1万1355人に上っている。ガザの人口約210万人のうち、96%が深刻な食料不安にさらされている。

 世界銀行や国連によると、ガザの住宅は全体の6割以上が被害を受けた。インフラ施設の推定被害額は1月時点ですでに185億ドル(約2.7兆円)に上り、戦闘が終わったとしても復興には数十年を要するという。

 グテーレス国連事務総長は米東部時間の5日、ガザの戦闘開始から1年に合わせた声明を発表した。「(昨年)10月7日以来、衝撃的な暴力と流血の波が勃発した」とし、ガザやレバノンでの戦火について「人々の生活を粉々にし、深刻な人的苦痛を与え続けている」と強調。改めて即時停戦を訴えた。(佐藤達弥、エルサレム=高久潤)

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