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ソメスサドルの染谷尚弘社長(左)から完成した鞍(くら)を受け取る武豊騎手=2024年8月21日午後2時10分、北海道砂川市、丸石伸一撮影
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 世界最高峰の競馬レース「凱旋門賞」。11度目の挑戦となった武豊騎手が日本から持ち込んだサドル(鞍(くら))は、北海道砂川市の馬具メーカーの職人たちが2年半かけて作ったものだった。

 6日、パリロンシャン競馬場で日本唯一の馬具メーカー「ソメスサドル」の開発者たちがレースを見届けた。武さんは、ソメスサドルの鞍を30年以上愛用している。

 武さんが凱旋門賞で使った鞍は、骨組みに新素材を採用し、軽くて耐久性もある最新モデルだ。創業60年の節目に「最高の鞍を最高の騎手に最高の舞台で使ってもらいたい」と武さんに共同開発を持ちかけた。試乗を繰り返し、改良を重ねた。

 今夏、武さんは初めて本社を訪れ、工場で職人たちの仕事ぶりを見学した。「結果で返したい気持ちが強くなった。勝って、ロンシャンで鞍を掲げたい」と話した。

 ソメスサドルは、炭鉱が次々と閉山していた北海道・空知地方で、まちの再生を願う人々が立ち上げた。開拓に欠かせない農耕馬の馬具職人を道内で集めたという。1970年代の急激な円高で経営危機に陥ったが、バッグや財布といった服飾品の国内販売へと軸足を移し、切り抜けてきた。

騎手にとって鞍は体の一部。記事の後半は、武豊騎手へのインタビューです。8月に聞きました。

 作りのきめ細かさが騎手たち…

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