「子どもたちにもう1人保育士を!」を合言葉に、保育士の配置増を訴えた保育士や保護者たちが愛知にいる。
草の根の運動は次第に全国から共感を集め、今春、76年ぶりに国の基準が改定された。
そんな軌跡が一冊の本になった。運動の呼びかけ人の一人で、本の出版にも関わった社会福祉法人熱田福祉会の平松知子理事長は「みんなでおもしろがることが、大きなうねりにつながっていった」と話す。
運動が芽吹いたのは4年前。コロナ禍の「登園自粛」で園児が少なくなり、保育士は自分たちがいつもより一人ひとりの子どもと丁寧に向き合えていることに気がついた。子どもたちもまた、落ち着いて過ごしていた。
当時、保育士がみる子どもの数を定めた国の配置基準は、例えば4、5歳児クラスでは子ども30人に対し保育士1人。たくさんの子どもを1人でみるため、「待ってね」「後でね」などと子どもの思いにふたをせざるを得ない場面も多い。保育団体などがかねて改善を求めていたが、待機児童対策の裏で、戦後一度も見直されずにいた。
合言葉を生んだ「わからない」
コロナ禍で改めて問題に感じた県内の保育士たちが意見を交わし、保護者にも伝えた。そこで返ってきた言葉が、この運動をこれまでとはひと味違うものにした。
「先生たちの言う『6対1』…