少子化の影響で高知県立高校の定員割れが続いていることから、県教育委員会は入学定員を「少なくとも1200人以上」減らす方針をまとめた。2026年度からの7年間で、現在の約75%にあたる3600人規模にするという。
県教委によると、今年度の県立高(全日制)入学者は計3367人で、総定員の70%にとどまった。全日制31校40学科のうち、16校17学科で定員充足率(20~24年度の平均)が50%を下回っている。
県内では、中学校を卒業した生徒が10年間で1100人ほど減り5522人(23年度)になるなど、少子化が加速している。須崎工と須崎を統合して須崎総合を新設するなど、統廃合や学級数の調整で対応してきたが、「少子化のペースが予想以上に進んでいる」として、定員削減に踏み切る。
一方で県教委は「地域から高校をなくすと若者の転住が進み地域の衰退を招く大きな要因になる」(竹崎仁・高等学校振興課長補佐)とも指摘。中山間地域などの小規模校では、地域と共に学校の魅力化向上を図り、生徒数の確保に向けた取り組みも進めるとしている。
県教委協議会は8月の会合で入学定員の削減方針について確認した。県教委は今年度末までに、来年度から8年間の県立高校再編振興計画を策定する。(羽賀和紀)
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町で唯一の高校がなくなれば地域は衰退する――。入学者の定員充足率(2020~24年度の平均)が4割を下回る県立大方高校を抱える黒潮町は危機感を募らせる。
同校は文部科学省から「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(地域魅力化型)」に指定された。地元の保育園や小中学校と合同で避難訓練の企画運営や、住民と一緒に避難路の検証をするなど、防災協力にも力を入れてきた。
町企画調整室の渡辺大和係長は「大方高が地域に果たしてきた役割は大きい。人口減少に直面する黒潮町にとっては、地元に進学先を残すことが若者の転出抑制にもつながる」と話す。
そこで町は、遠方からの生徒を受け入れられるように36人が生活できる「寄宿舎」を併設した地域との交流施設を整備する。地元住民が利用できる研修室(2部屋)が設けられ、地域住民との連携がさらに進むと期待されている。
畠中仁教頭は「幅広い大人と関わることで見識を広める機会にし、地域への貢献を深める場にしたい」と話す。
県教委によると、同様の試みは梼原高(梼原町)、嶺北高(本山町)についで3校目という。(羽賀和紀)